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2020.10.29

グループ通算制度をきっかけに

令和2年税制改正によりグループ通算制度が創設されました。

 グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度です。

現在グループ間の損益通算を行う制度として連結納税制度がありますが制度運用の煩雑さから大企業グループ中心の制度になっており、中小企業グループで連結納税制度を適用しているケースは限定的でした。

グループ通算制度は個別申告方式となるため、連結納税制度に比べて事務負担が軽減されることが期待されており、中小企業においてもグループ間の損益通算による節税メリットを享受できるケースが増えてくると考えられます。

一方、適用にあたって留意すべき点がございます。

まず、グループ通算制度は国税庁長官の承認を受けて適用できるもので、一度選択すると相当な理由がない限りはその適用をやめることができません。

また、中小法人における年800万円までの所得に対する軽減税率については、年800万円の枠を通算グループ内の法人の所得金額の比で按分して適用されることになり、軽減税率の適用メリットが縮小する場合があります。

さらにグループ通算制度適用開始時における保有資産の時価評価や各法人が有する繰越欠損金の取り扱いなどにも注意が必要です。

グループ通算制度の適用にあたっては、グループ全体の税負担にどのような影響を及ぼすのか、グループの現状や将来の所得推移を考慮して検証することが重要です。

そもそもグループ内に経常的に赤字が発生するような法人がある場合は、グループ通算制度の導入により損益通算を図るというのも一つですが、組織再編や事業整理を行うという案も有効な場合がありますので、グループ通算制度の創設がグループ全体の税負担を見直して頂く良い機会になるのではと思います。

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